レム(REM)睡眠

急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の見られる睡眠である。脳波は比較的早いθ波が主体となる。この期間に覚醒した場合、夢の内容を覚えていることが多い。レム睡眠中の脳活動は覚醒時と似ており、エネルギー消費率も覚醒時とほぼ同等である。急速眼球運動だけが起こるのは、目筋以外を制御する運動ニューロンの働きが抑制されているためである。人間では、6〜8時間の睡眠のうち、1時間半〜2時間をレム睡眠が占める。記憶の固定にレム睡眠が必要だという説に対しては、支持しない証拠が多い。1953年にシカゴ大学ナサニエル・クライトマンとユージン・アゼリンスキーがレム睡眠の存在を発見した。

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動物の睡眠

必要な睡眠時間は種ごとの体の大きさに依存する。例えば小型の齧歯類 では15時間〜18時間、ネコ では12〜13時間、イヌでは10時間、ゾウでは3〜4時間、キリンではわずか1〜2時間である。これは大型動物ほど代謝率が低く、脳細胞の傷害を修復する必要が少なくなるためとも考えられている。

すべての陸生哺乳類にレム睡眠が見られるものの、レム睡眠時間の種差は体の大きさとは無関係である。例えば、カモノハシは9時間の睡眠時間のうち、レム睡眠が8時間を占める。イルカはレム睡眠をほとんど必要としない。

脊椎以外の動物、例えば節足動物にも睡眠に類似した状態がある。神経伝達物質の時間変化を観察すると、レム睡眠と似た状態になっているらしい。

ヒトと異なり、生物の中には、長い期間覚醒しない種もある。これは冬眠 と呼ばれる。哺乳類は冬眠時であっても低体温状態とはならない。冬眠する生物の例として、クマ 、リス 、カエル などが挙げられる。

睡眠の際の姿勢も生物によって異なる。魚は単に水中を漂う形で睡眠状態に入る。フラミンゴ は片足で立ったまま眠るとされる。
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睡眠と文化

睡眠をとる時間や場所は文化によって異なる。多くの文化では睡眠を取る場所(寝室)と時間は決まっている。現代日本人の場合、電車やバスによる通勤・通学をする者も多いため、これらの交通機関の中で眠る者も多い。高校の生徒や大学の学生の中には、授業中に眠るものもいる。これら、座った状態での眠りは「居眠り」と呼ばれる。夜の睡眠は、伝統的には布団の中でとられるが、これは「寝る」(横になること)とも呼ばれる。風呂の中で居眠りをすることは疲れの現れと一般に考えられている。

年をとると早寝早起きの習慣が身につくと一般に考えられている。

頭を北に、足を南に配置する形で寝ることは北枕 と呼ばれ避けるべきこととされてきた。

地中海地方などに見られる午睡(シエスタ)の風習は日本にはない。
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睡眠をめぐる言語表現

恐らくは他の多くの言語と同じく、日本語 でも死 と性行為 は睡眠にたとえられる。

死はしばしば「永眠 」と呼ばれ、「寝る」という語は性的交渉を持つことの意で用いられることがある。

果報は寝て待て

寝る間も惜しんで

寝る子は育つ




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関連項目
Wikiquote
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