二人のイエスではなく、一人のイエス・キリストの場合:仮説2:一人

二人のイエスではなく、一人のイエス・キリストの場合:仮説2:一人のイエスにおける父と太母の両極性


テーマ:一神教多神教


もし、二人のイエスではなく、一人のイエスの場合は(、通念であるが)、私の基本的なアイデアはどうなるだろうか。
 基本的なアイデアとは、これまでの考察からわかるように、同一性主義の極と差異共振主義の極という両極性である。先には、それぞれの極を、異なる人間であるイエスに振り分けた形になったのであるが、理論的に、同一人物に見ることは可能である。だから、基本的なアイデア自体は変化ないが、視線が変わることになるのである。
 一人のイエスに同一性主義の極(父の子)と差異共振主義の極(太母の子)を見た場合、そのダイナミクスの発生をどう考えたらいいだろうか。思うに、そのイエスは、ヤハウェ神学の影響下にあり、同一性主義を教えを受けていた(おそらく、エッセネ派の「義の教師」の下で学んだのではないだろうか。『死海文書』から)。言い換えると、超越的同一性主義の教義の下にあった。
 しかるに、イエスは、当時のヘレニズムの諸宗教混淆状況にあって、レヴァント(東地中海)やメソポタミアの太母の宗教(大女神の宗教)、(大乗)仏教、ゾロアスター教古代ギリシアの秘儀、グノーシス派、ミトラス教、等々の多様な宗教知を学んでいたとしよう。とは言え、後者は、共通の思想を含んでいたと言えるのである。即ち、それは、端的に言えば、Media Pointの思想である。あるいは、太母のコスモスの思想と言ってもいいかもしれない。顕示的にそうではなくても、その思想を内在か潜在させていたと考えられるのである。
 だから、イエスは、ヘレニズム的イエスであるということである。当時は西洋は発展途上(ローマ帝国)あるいは未開であったから、東洋の諸宗混淆状態のイエスということになる。そして、Media Pointの思想ないしは太母のコスモスの思想をもっていたイエスは、当然、コスモス超越エネルギーと共鳴共振しやすいのである。
 問題は、ヤハウェ神学の下にあったイエスの心(霊)が、Cosmic Media Pointが啓いて発出したコスモス超越エネルギー(神霊エネルギー)と即非共振したときどういう心的様態になっただろうかということである。明らかに、絶対矛盾する要素が併存する様態となるのである。おそらく、激烈な亀裂的な衝動・爆発がイエスの心(霊)に発生したはずである。パトス、パッション(パッションには、受難の意味がある)である。当然、両極に分裂するはずである。ヤハウェの極では、父の子であるという意識が発生し、太母の極では、太母の子であるという意識が勃発したはずである。これが、新約聖書に認識できるイエスの分裂性の起因ではないだろうか。(p.s.  この説明では、おかしい。何故なら、イエスは太母の子という意識はなかったからである。だから、訂正して、太母の子というのは、父の子という意識の下に潜在していた。つまり、無意識であったとすればいいのである。イエスの無意識において、太母の子というエネルギー作動していたとすればいいのである。これが、隣人愛や罪の赦しの思想になって表われたと考えられるのである。尚、贖罪の思想であるが、それは、父の子の意識であると言えよう。)
 これで、一人のイエスの仮説を説明したことなるが、後の枢要な問題はイエスが説いた神の国、そして、格別殊更に説いた聖霊とは何かである。
 順序を逆にして、聖霊から説明を試みよう。これは、ある意味で簡単に説明できる。Media Pointの極、太母の極をもっているので、差異共振性があり、この差異共振性によって喚起されるコスモス的超越エネルギーが聖霊であると言えよう。これはおそらく、風や天使で表現されるだろう(p.s. 鳳凰や不死鳥などは、やはり、聖霊の表現の一つではないだろうか。天女もそうかもしれない。結局、天使もそうであろう。多様な聖霊・精霊である。後で、大地の精霊について検討したい。)。つまり、正確に言えば、コスモス的超越エネルギーの伝達される様態を聖霊と呼んだものと思われる。キリスト教では、神霊を鳩で表現するが、鳩も聖霊であろう。ついでに、東方キリスト教でいう神のエネルゲイアであるが、もう自明であるが、コスモス的超越エネルギー、Cosmic Media Pointエネルギーのことと考えられる。東方キリスト教、即ち、ギリシア正教等は、太母的コスモスを西方より強く残していたので、このような思想がキリスト教に入ったと考えられる。
 さて、神の国であるが、これももう解明は容易ではないだろうか。それは、端的には、心のMedia Pointのことである。これは、同時に、Cosmos Media Pointであるし、同時に、いわば、Supercosmos Media Pointでもある。高次元である。超越界、神霊界、永遠界である。仏国土である。心の高天ケ原である。