ライブドア問題を哲学する:その2:IT企業・ポストモダン・メディア

ライブドア問題を哲学する:その2:IT企業・ポストモダン・メディア界の両義性の落し穴


ホリエモンの側近の自殺を聞くと、何か、また、オウム真理教を想起する。私は、去年から、ライブドア新興宗教の感じを受けていた。ホリエモンが尊師であり、社員は信者である。おそらく、この連想は間違っていないだろう。このことを含めて、大澤真幸ODA ウォッチャーズ両氏の三幅対論の線に沿って、本件を考察しよう。

A.1.プレモダン/2.モダン/3.ポストモダン

B.1.原理主義/2.モダン/3.多文化主義

C.1.共同体/2.モダン(構造主義)/3.脱構造主義

A~Cは、等価構造である。そして、1と3は、相互依存、相補性を形成している(「アイロニカルな没入」)。IT企業は、3に相当する。そして、前近代的共同体(「父権的部族主義」)が残存している。そして、ライブドアは、この三幅対構造の力学から、プレモダン・原理主義・共同体に癒着したと言えるだろう。極めて、単純・明快である。これで、ライブドアの転落は説明できるのである。
 しかし、これは、ポスト・モダン主義にとっては、由々しき問題である。いわば、袋小路・閉塞である。実は、これは、ポスト構造主義ジル・ドゥルーズの哲学の閉塞と同質・等価と考えられるのである。この点について、不連続的差異論から究明しよう。
 この問題の中心は、メディア界にあると考えられる。近代主義は、主客二元論=二項対立を構築して、揺らぎの無い世界観をもった。しかし、とりわけ、20世紀後半において、近代主義が解体して、ポストモダンの状況が生まれる。これは、広義には、個人主義自由主義、情報資本主義等の進展として捉えることができるだろう。これは、不連続的差異論におけるメディア界の領域の開拓に通じるのである。即ち、近代的自我・合理主義を脱構築する力の発動である。しかしながら、メディア界とは不連続性と連続性の連結している領域であり、また、イデア界と現象界の媒介の領域である。
 問題は、IT企業=ポストモダン=メディア界が、発展しようとするときに、危険な罠があるということである。それは、連続化である。ここは、非常に複雑な事態がある。不連続的差異論におけるメディア界とはエネルギー領域であるが、原動力はイデア界にある。即ち、メディア界は、本来、イデア界、つまり、不連続的差異によって駆動されているのである。しかし、それが、メディア界特有の様相によって、連続性が同時に作動しているのである。力動の根源は、イデア界・不連続的差異でありながらも、同時に、連続性の力学がそこには作用しているのである。だから、IT企業=ポストモダン=メディア界は、厳しい自己認識をもたないと、連続性の力学に流されるのである。それは、イデア界・不連続性の反動という形で、連続性が強化されるので、極めて悪しきもの、悪魔的なものになるのである。本来、不連続的差異性に駆動されていながらも、連続性の傾向のために、反動的な連続化が発生するのである。これが、大澤真幸氏が述べた「アイロニカルな没入」であろう。つまり、IT企業=ポストモダン=メディア界は反転して、前近代・原理主義・共同体へと転化するのである。これが、ライブドアに起ったことと考えられるのである。私が、新興宗教化と言ったは、ここから来ているのである。そして、経済倫理を喪失したのも、ここから発していると考えられるのである。悪魔化である。
 さて、この隘路からの脱出は、先にも述べたが、また、これまでの記述からわかるように、IT企業=ポストモダン=メディア界の不連続化、不連続的差異化、脱構造主義化である。つまり、共同体との関係を一切切断しないといけないし、不連続的差異の共立・共生・共存というイデア界の志向性・要請を実現する方向をもたなくてはならないということである。つまり、IT企業=ポストモダン=メディア界のイデア界化が必要なのである。IT企業が、不連続的差異としての市民や地域と共立・共生・共存することが絶対的に必須であるということである。
 思うに、ホリエモンは、出発点としては、彼自身、不連続的差異であったろう。そして、IT経済・ポストモダン・メディア界を構築する。しかし、この連続性の力動・エネルギーに彼は染まり、出発点の不連続的差異性を喪失・忘失するのであり、さらに反動化して、共同体化して、ダークな、違法な行為へ突き進んだのである。彼に欠落していたものは、真の理論・哲学・叡知である。彼に、ポストモダンの叡知があれば、正しく進むべき方向は察知できただろう。正しい方向とは、不連続化、不連続的差異化、イデア界化への方向である。それは、不連続的差異の共立・共生・共存・共創であり、それは、ポストモダン的民主主義の方向である。彼は、経済において、民主主義を否定していたが、それこそ、必要であったのである。傲り、倨傲によって、自滅したと言えよう。彼の倨傲・驕慢とは、反動的なポストモダン的心性に拠るのである。そう、メディア界とは、極めて危険な領域であり、不連続性と連続性がいわばせめぎ合い、相克様相にあるのである。不連続性が連続性を否定しようとしたり、連続性が不連続性を否定しようとする矛盾同一の力学がここにはあるのである。
 
 

以下資料。________________________________________

─ Dailymail Businessより ─────────────────────────
■ 堀江をもてはやしていたのは誰だ
■ 今になってマネーゲーム錬金術師だなどと
■ 批判している大新聞・テレビ報道のバカらしさ
■ とにかくこの国を悪くした小泉ペテン改革5年間
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竹中イカレ大臣が小泉デタラメ首相に吹き込んだ改革と称する
株式資本主義とIT至上主義はいよいよ馬脚をあらわしている

5年も経ってもいまだに「改革の芽を大きな木に育てたい」
とフザケたことを言っているが、こんな政治が続いていれば
第2第3のホリエモンが続出し国は滅びる

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時価総額世界一は近い将来なんじゃないか」。昨年12月25日の株主総会でこう
ブチ上げ、自ら進んでフラッシュライトを浴びていた男が、今はマスコミから逃げ回
っている。近く、東京地検の事情聴取を受けるライブドア社長の堀江貴文(33)。
豹変ぶりは大新聞・テレビも同じで、今になって堀江批判を始めた。
株式分割株式交換を組み合わせた『錬金術』にメスが入った」「投資家を軽んじ
たマネー至上主義の実態はどこまで解明されるのか」なんて調子で、堀江を連日バッ
シングだ。「1株が3万株は法律スレスレ」とか「分割の時間差を利用して株価45
倍」と、もともと錬金手口が問題視されていたかのように解説する記事も多い。
 テレビのワイドショースタッフは、「局内は『とにかくホリエモンをたたけ』で突
っ走っている。もちろん数字(視聴率)が取れるからで、コメンテーターもアンチ堀
江派をどんどん使っていきますよ」と笑う。
 何を今さら、じゃないか。ウサンくさい「錬金術師」を百も承知で、これまでもて
はやしていたのは、一体、誰なのか。
 堀江はプロ野球新規参入、フジテレビ買収、衆院選出馬……と、株価を吊り上げる
ために話題を振りまいてきた。そのたびに、TVのコメンテーターたちは「旧体制を
ブチ壊す革命家」「時代の寵児」とヨイショしてきた。乗っ取られそうになったフジ
テレビやTBSまでが、バラエティー番組に呼んで喜んでいた。

◆ 女性広報までタレント扱い ◆

 さらにホリエモンのPR担当者・乙部綾子を「美人広報」とちやほやし、エッセー
集まで出版させてバカ騒ぎしていたはずが、事件発覚後は「(堀江は)会見で目が泳
いでいた」なんて小バカにしている。法大教授の須藤春夫氏(マスコミ論)がこう言
う。
勝ち組・負け組社会の成功者として堀江氏を持ち上げてきた大マスコミの責任は重
大ですよ。当然、知っていたはずの違法スレスレの経営手法には目をつぶり、プロ野
球新規参入問題では、旧体制に一石を投じたベンチャーの旗手として扱った。だから
世間も、新時代の起業家として歓迎したのです。フジテレビの買収騒動にしても、む
しろ防衛策を講じなかったテレビ局の方が悪いという論調で後押ししていた。結果と
して大マスコミは、『違法でなければ何をやってもいい』という時代の雰囲気づくり
に加担したとも言えるでしょう」
 それでもまだ、朝日新聞などは「堀江流の功罪」とか「ライブドアが残したものは
負の遺産』ばかりではない」なんて生ぬるいことを書いている。
「先の総選挙で朝から晩まで堀江氏を追いかけ回し、“選挙協力”していたTVは、
特捜部が動いた途端に手のひら返しです。なぜ、堀江氏のような存在を生み出してし
まったのかという問題の本質を突かず、ただ勝ち馬に乗るだけの報道姿勢を改めない
と、今後も第2、第3のホリエモンを生み出すだけです。個人投資家は、結局、メデ
ィアがつくった“ITバブル”に乗せられて痛い目に遭った。そういう意味でも罪は
重いですね」(須藤春夫氏=前出)
 今になってTV局は堀江や乙部出演の番組を大慌てで差し替えている。堀江をのさ
ばらせてきた大マスコミに、批判する資格などないのだ。無節操だし、調子がよすぎ
る。

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ホリエモン側近(野口英昭氏)はなぜ自殺したのか
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 ホリエモンの側近が自殺していた。地検特捜部の強制捜査後に失踪、18日に那覇
市内のホテルで遺体が見つかったのだ。亡くなったエイチ・エス証券副社長の野口英
昭氏(38)は、事件のキーマンだった。

▼ 不正事件のキーマンだった ▼

 ライブドアの違法行為は、自社の支配下にあった「JMAMサルベージ1号投資事
業組合」がすでに買収済みだった消費者金融「ロイヤル信販」など2社の株価吊り上
げのために、「今から買収する」とニセ情報を流していたことだ。
 この投資事業組合を運営する「日本M&Aマネジメント」の親会社「エイチ・エス
インベストメント」社長が野口氏。ライブドアの指示を受け、M&Aの契約書の作成
などを組合員に行わせていた。
 野口氏は元国際証券(現三菱UFJ証券)社員だったが、堀江社長に公開取引業務
の手腕を買われ、00年にライブドアの前身「オン・ザ・エッヂ」に入社、マザーズ
上場の立役者とされる。02年にエイチ・エス証券に移った後も、ホリエモンらライ
ブドア幹部との交流は続いた。

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日刊ゲンダイ Dailymail Digest 2006年 1月21日号(平日毎日発行)