自由主義と不連続的差異論:能動・歓喜・共生的ポストモダン・ヤポネ

自由主義と不連続的差異論:能動・歓喜・共生的ポストモダンヤポネシア平成維新へ向けて


私が、差異というとき、これは、個の自由ということとほぼ同じことである。そう、不連続的差異論は、一種自由主義である。しかし、通常の自由主義あるいは新自由主義とは決定的に異なる点をもつ。それは、差異の共存・共立・共生をも志向するからである。個の自由が同時に、個と個との共存であることを志向するのである。ここが、決定的に異なる点だと思う。
 イギリスそしてアメリカの自由主義は、簡単に言えば、近代的自我主義であり、個人主義だと思う。では、不連続的差異論から見たら、それは、どのように分析できるだろうか。これは、意外に難しい問題である。自我とは何かという問題があるからである。 
 さて、近代的自我であり個人主義的であるという二重性をもつ自我が近代西欧に誕生する。しかし、デカルト的な合理的な主体というよりは、特異性をもった自我であると思う。【p.s. デカルトのコギトも、基礎は不連続的差異であるが、知的合理主義を志向する点で、自由主義的自我とは異なると考えられる。自由主義的自我は、知性というよりは、個人的権利の合理性を問題にしているのである。即ち、一方は、科学的合理主義であり、他方は、権利的合理主義である。後者は、個人の諸欲望を肯定するものである。そこには、利己主義的な欲望が入るのであり、利己主義が権利に化するのである。だから、利己主義的合理主義である。なお、ここで、スピノザのコナトゥス(自己保存力)と利己主義を比較すると、前者は、個のもつ基本的な生存力・自然権であり、後者は、他者への配慮・倫理がない、個の欲望・利益中心主義である。個の基本的自然権と他者のそれとが衝突するとき、それを解決するのが、司法権である。尚、不連続的差異論は、コナトゥスと差異共存志向性を共立させているのである。】つまり、不連続的差異論から見ると、自由主義の自我とは、不連続的差異性を帯びていると思われるのである。問題は、この不連続的差異の性質である。これは、先に二つのポストモダン(言わば、暗黒ポストモダンと光明ポストモダン)について述べたことと関連がある。即ち、反感的か肯定的かの違いが関係すると考えられるのである。二つの不連続的差異が存するということである。反動・憎悪・利己主義的不連続的差異と能動・歓喜・共生的不連続的差異である。ここまで、言うと、自由主義の自我がどちらであるか、ほぼ明瞭である。これは、前者でしかありえない。ニーチェ的に言えば、ルサンチマン的不連続的差異である。(おそらく、ホリエモン氏や小泉氏や竹中氏がこれである。)これは、極めて、破壊的な個人主義である。アナーキストシュティルナーの唯一者とは、ほぼこれに近いのではないだろうか。
 ということで、自由主義と不連続的差異論の「自由主義」の違いがこれで判明したと言えよう。前者は、イデア界から発しているものの、反動となった、いわば、凶暴な個人主義である。それに対して、後者は、イデア界に能動的に回帰した、差異共生共創的な個人主義である。前者は戦争主義であり、後者は平和主義である。一元論と多元論、一神教多神教の違いとも言えよう。憎悪的であるか、歓喜的であるか。父権的あるか、母権的であるか。天上的であるか、大地的であるか、等々である。
 日本は、戦後、USAの半植民地となり、アメリカ化した。それは、自我が反動・憎悪・利己主義を帯びたということである。本来、多神教の日本文化(ヤポネシア文化と言おう)は、差異共存主義の文化である。しかし、自覚乏しく、欧米化されて、自己を喪失しているのである。今、日本の政治・経済は大きく揺らいでいる。カオス状態である。結局、新自由主義ポストモダン路線は、問題が多いのがわかる。これは、強暴な路線であり、他者を排斥するものであり、社会は荒廃する。確かに、新自由主義の小さな政府という理念は、「社会主義」的資本主義に対する処方箋の意味があることは否定できない。しかし、これは、いわば、副作用が大き過ぎるのである。社会をずたずたにするだろう。勝者と敗者の二極化が徹底するだろう。当然である。そして、今や、ライブドア耐震強度偽装等で、そのダークさが誰の目にも明らかになったのである。
 今年は、戦後日本社会の一番の転換点となるだろう。アメリカの中国重視・多極化の政策という新たな黒船が来航しているからである。平成維新の可能性があるのである。ここで、ヤポネシア本来の文化の復活と、不連続的差異論が説く能動・歓喜・共生的ポストモダンの創造が、蓋然的になってきているのである。ポスト新自由主義としての能動・歓喜・共生的ポストモダンヤポネシア平成維新のエネルゲイアが、ふつふつと滾ってきていると思うのである。


参考:
「欧米中心の世界は終わる?」田中宇の国際ニュース解説
http://tanakanews.com/f0906multipolar.htm