シュタイナーの霊学とプラトニック・シナジー理論:霊性の実践学とし

シュタイナーの霊学とプラトニック・シナジー理論霊性の実践学としての知


テーマ:新霊性new spirituality


久しぶりに、シュタイナーの本を読んだが、この本は面白かったというか、シュタイナーの霊学がプラトニック・シナジー理論(以下、PS理論)に通じることがはっきりわかったのが収穫である。これまで、私はシュタイナーの霊学を霊的唯物論であると批判してきたが、謝罪しつつ、誤りを訂正しないといけない。霊的唯物論とは中沢新一の用語であり、中沢の「思想」に当てはまるもので、シュタイナーの霊学には適用されないと考えられるのである。
 とまれ、この私の判断の転換をどう考えたらいいのだろうか。思うに、PS理論が初めより深化して、より熟してきて、より普遍的な視点をもつようになったということではないだろうか。
 例えば、シュタイナーのいうアストラル体エーテル体という、いわば、オカルト的な概念であるが、それは、PS理論のMedia Pointの様相で説明できそうである。即ち、Media Pointの虚軸性がアストラル体、Media Pointの実軸性がエーテル体というように考えることができそうである。まぁ、当たらずといえども遠からずであろう。
 つまり、シュタイナーの霊学とは、オカルト学ではなくて、差異哲学、差異現象学現象学フッサールの意味で捉えられなくてはいけない)、差異数理科学として、説明できるように思えるのである。今は、残念ながら、余裕がないので詳述は行なわないが。
 この本の重要な箇所は、他に、訳者高橋巌氏による長文の解説『シュタイナーの宇宙思想』である。ここでは、仏教の視点からシュタイナー思想を解説しているのである。目が開かれる内容をもっている。高橋氏の独創的な概念である「エーテル的・アストラル的世界海」という考え方は大事だと思う。これは、正に、 Media Pointの宇宙的様相(コスモス)を表現している思えるのである。この点も余裕があれば後で触れたい。この本はお薦めである。ただし、シュタイナーの基本的思想に馴染んでいない人には、意味不明な点が多いだろう。叙述は平易平明であるが、かなり難解な本である。