アイルランドの民族の変遷【『トァン・マッカラルの話』(『侵略の書

アイルランドの民族の変遷【『トァン・マッカラルの話』(『侵略の書』)】


1)セラの息子バローロンに率いられた24組の男女。彼らの生き残りが、トァン・マッカラル。
2)ネヴェと4組の男女:トァンは、雄鹿から、猪へと変身する。
3)フィル・ボルグ族が上陸。
4)ダナの息子たち(トゥアッハ・デ・ダナン):新石器文明・巨石文化
5)ミレシアの息子たち(ケルト系ゴイデル族):海鷲となっていたトァンは、蛙となる。そして、人間となる。


ケルト神話と中世騎士物語 「他界」への旅と冒険』田中仁彦著 中公新書


この労作は、お奨めである。
http://library666.seesaa.net/article/4025266.html
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121012542/qid%3D1138282747/249-3508088-6643522
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%88%E7%A5%9E%E8%A9%B1


p.s. アイルランドの神話の他界とは、折口信夫の説いた「常世」と共通すると思われる。なぜなら、それは、海の彼方に存すると考えらていたからである。 cf.ニライカナイ


p.p.s. ケルト神話の大地母神ダナであるが、それは、イデア界に、その分身たちは、メディア界に相当するだろう。日本神話であるが、やはり、根源にイデア界の女神(アマテラス?)が存し、その分身として、天鈿女命(あめのうずめのみこと)等が存するだろう。そして、根源の女神(太陽神=大地母神)と結婚する(大嘗祭、真床追衾(まとこおうふすま)、真床御衾/まとこおぶすま)のが、日御子(ひのみこ)=「天皇」であろう。ヒミコ(卑弥呼)とは、根源の女神に仕える日の巫女であろう。
http://www.geocities.co.jp/WallStreet/4669/daijyousai02-1.html
 思うに、アマテラスや月読み(「かぐや姫」)や素戔嗚尊は一体(三神の女神、宗像の三女神)であろう。それらの根源の女神が存するはずである。その名前は何だろうか。日本・ヤポネシアの根源の女神の名前は何か。伊邪那美でいいのか。それとも、天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)なのか。参考:ギリシア神話のガイア。(p.s. 思えば、イザナミイザナギも波、凪、渚で、海に関係する。やはり、ヤポネシアの神である。海洋に関係するのだ。)


3p.s. 基本的には、母権神話で括れるだろう。神話学者ジョセフ・キャンベルの諸著作を参照。『神の仮面』(青土社)。彼の言う、「神」とは、イデア界として見ると分かりやすい。
 『神の仮面 西洋神話の構造』の中で、キャンベルは、考古学的に、古代ブリテンの文化とクレタ文化の同時代的対応性を述べていた。これは、瞠目すべきである。つまり、古代ブリテンは、古代東地中海の母権文化とつながっていたということである。
 また、古代日本も、当然、母権文化であり、それは、基本的には、古代東地中海の母権文化とつながっていると思うのである。その間に、シュメール文化を置くことができるだろう。


4p.s. 本書のあとがきで、シモーヌ・ヴェイユの言葉が引用されているが、それは、正に、不連続的差異論を意味していると考えるべきである。万教帰一。
「十字架の聖ヨハネは、真理は黄金であるのに対して、信仰は銀の反映にすぎないという譬喩を用いています。さまざまある宗教の伝承はすべて、同一の真理の異なったさまざなな反映であり、おそらくその貴重さは同じです。ところがこのことが理解されておりません。各人はこれらの伝承の中の一つだけを生きており、その他の伝承は外側から目にするからです。」(『シモーヌ・ヴェイユ著作集Ⅳ』大木健訳、238頁)
とても美しい言葉、宝石の言葉である。この「同一の真理」をイデア界の真理・叡知にすればいいのである。


5p.s. イデア界は、原天地である。それが、メディア界で、天地一如(混沌)となり、そして、現象界において、分離するということだろう。


6p.s. 上掲書(p.71〜72)で、「ヒマラヤ山脈の高峰の一つアンナ・プルナ(恵み豊かなアナ)」が、ケルトの女神ダナ(ダニャ、アナ、ドーン)と結びついているのを知って、ますます身近に感じられる。古代において、地球・ガイアは一つであったのだろう。そして、現代、また、新たなガイアの時代を迎えていると言えよう。


7p.s. D.H.ロレンスの長編小説『虹』の中で、アナ(アンナ)という女性が登場するが、正に、大地母神的である。D.H.ロレンスは、ケルトブリテン文化を爆発的に顕現した偉才である。


参照:
http://www.taka-aki.com/personal_note/tamil/tamil07.htm