《モダニズム》の時代の「エネルゲイア」の意味について:あるいは、

モダニズム》の時代の「エネルゲイア」の意味について:あるいは、アメリカ主義の崩壊・終焉


テーマ:プロトモダン/ルネサンスプラトニズム


以下の資料から、芸術史(文学史、美術史他)における「モダニズム」(最近、アカデミズムでは、その存在について問題視されている)と呼ばれたものが、その時代を含めて、内包していたものが、プラトニック・シナジー理論的に直観できるように思える。
 即ち、賦活されたメディア界・差異共振シナジーエネルゲイアが存したが、メディア/現象境界の同一性構造も同時に、強化されたのである。そのために、一方では、メディア界・差異共振シナジーへの志向性があり、他方では、連続・同一性主義/近代合理主義への志向性があったのである。つまり、メディア界の賦活が発生して、それが、同時に、メディア/現象境界を賦活させ、境界・両義的志向性を発現させたのであり、いわば、メディア界の極性と現象界の極性の二元的極性が発生して、これが、作家等の創造エネルギーとなったと考えられるのである。(p.s. ということは、「モダニズム」とは、後のポストモダンの先駆であるということになるだろう。おそらく、「モダニズム」は、ポストモダンと呼ばれるべきである。ならば、フランスのポストモダンは、おそらく、後期ポストモダンと呼ばれるべきかもしれない。この点は、後で検討しよう。)
 ここで、英米文学史における「モダニズム」を考えると、T.S.エリオットやエズラ・パウンドを見ると、メディア界的志向をもっていたイギリス・ロマン主義を否定して、反動的に、連続・同一性主義/近代合理主義へと傾斜したのがわかる。W.B.イェイツは、矛盾する両者を調和させようし、ジェイムズ・ジョイスは、おそらく、分裂症になってしまい、奇天烈な作品を生み出すことになったのである。プラトニック・シナジー理論から見て、「モダニズム」時代において、英米文学で積極的に評価できるの、D.H.ロレンスヴァージニア・ウルフであろう。ウィリアム・フォークナーは、なにか不幸な作家であるように思える。思うに、メディア界的なものがありながら、それを、アイロニカルにしか表現できなかった不幸があると思う。つまり、後ろ向き、否定的であったと思う。アーネスト・ヘミングウェイは、私には、個体の特異性を表現した作家のように思える。俳句的だと思う。(19世紀のアメリカには、エミリー・ディキンソンという特異な詩人がいたが、正に、俳句的な詩を創った。アメリカの「地霊」は、ネイティブ・アメリカン的であり、それが、アジアにつながるのかもしれない。アメリカ文化におけるアジア性というのが、一つのポイントになるのかもしれない。)
 このように考えると、ヘンリー・ジェイムズの存在が浮かび上がってくる。そして、アメリカ文学・文化という不幸は、20世紀後半には、グノーシス主義的SF作家フィリップ・K・ディックを生み出すことになるのである。そこで、メディア界が表現されているのである。
 また、ヘンリー・ミラーの存在もある。それは、ビートニクスの元祖であろう。彼は、「カオスモス」を表現した。それは、一つのメディア界であろう。彼は、ディオニュソスであった。彼は、アメリカのアジア人かもしれない。ポスト・アメリカの作家であろう。
 アメリカとは、何か。おそらく、内在的には、差異共振シナジーを意味しているだろう。ポスト・アメリカとしての「アメリカ」であろう。


参考:
Henry Miller
http://en.wikipedia.org/wiki/Henry_Miller


ヘンリーミラー美術館の閉館に学べ
http://www.st.rim.or.jp/~success/hakomono_ye.html

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19世紀中葉〜20世紀中葉の文化─近代・女神性・コスモス(世界ルネッサンス?)

1848年(弘化5年) 共産党宣言、2月革命(仏)
1851年 ロンドン第1回万国博覧会水晶宮クリスタルパレス)、メルヴィル『白鯨』
1855年 第1回パリ万国博覧会─エジプト美術陳列、初の写真展。ホイットマン『草の葉』、          ネルヴァル『オーレリア』。
1856年 フローベールボヴァリー夫人
1857年 ボードレール悪の華
1859年 ダーウィン種の起源』、ディッケンズ『二都物語
1865年(慶応1年) トルストイ戦争と平和』発表開始、キャロル『不思議の国のアリス
1872年 ニーチェ悲劇の誕生』、キャロル『鏡の国のアリス』、G.エリオット『ミドルマーチ』
1875年 ブラヴァツキー夫人─神智学協会。      
1879年 ゾラ『ナナ』、ドストエフスキー『カラマゾフの兄弟』、イプセン『人形の家』
1884年 ユイスマンス『さかしま』
1890年(明治23年) ゴッホ自殺、リラダン『アクセル』、フレーザー『金枝篇』。       1891年 ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』、マーラー『第1交響曲』。
1892年 ワイルド『サロメ』、「大本教」(出口ナオ)
1893年 ドヴォルザーク『第9交響曲 新世界より
1895年 リュミエール兄弟─シネマトグラフ上映開始。
1898年 岡倉天心日本美術院
1900年 フロイト『夢判断』、ニーチェ死去、ワイルド死去、ドライサー『シスター・キャリー』
1901年 ヴィクトリア女王死去。ラドヤード・キップリング『少年キム』
1904年 モネ「水蓮」制作開始、小泉八雲『怪談』
1906年(明治39年) 漱石『坊ちゃん』、ソシュール『一般言語学講義』、岡倉天心茶の本
1907年 ピカソアヴィニョンの娘たち』、漱石虞美人草』、「ブリュッケ」結成(表現主義
911年 「青騎士」展開催(カンディンスキー、マルク等)、D.H.ロレンス『白孔雀』、有島武郎       『或る女』、青鞜社結成、ユング『変容の象徴』(第四版、1950年)
1913年(大正2年) ロレンス『息子と恋人』、プルースト『スワン家の方へ』(『失われた時を求め      て』)、リルケ『ドゥイノ悲歌』、R.シュタイナー「人智学協会」設立
1914年 ジェームズ・ジョイス『若い芸術家の肖像』、パウンド編『イマジスト』、第一次世界大戦
1915年 ロレンス『虹』、カフカ『変身』、マイリンク『ゴーレム』、中国に21ヵ条要求(日本)
1916年 ベールイ『ペテルブルク』
1917年 ロシア10月革命、朔太郎『月に吠える』、ヴァレリー『若きパルク』
1918年 シュペングラー『西洋の没落』(1922年版が完成版)
1919年 ホイジンガ『中世の秋』、ウィーネ『カリガリ博士』, グロピウス等国立バウハウス発足
1920年 ナチス誕生、ロレンス『恋する女たち』、ヴァレリー『海辺の墓地』
1922年(大正11年) T.S.エリオット『荒地』、ジョイスユリシーズ』、プルースト死去、
      カール・バルト『ローマ書』
1923年 朔太郎『青猫』、稲垣足穂一千一秒物語』、関東大震災
1924年 「青い四」(クレー等)、マレーヴィチ「シュプレマティズム宣言」、E.M.フォースター       『インドへの道』、トーマス・マン魔の山』、賢治『春と修羅』、潤一郎『痴人の愛』、       ココ・シャネル(香水会社設立、シャネルNo.5発売)
1925年 イエイツ『幻想』、ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』、
      ドライサー『アメリカの悲劇』、梶井基次郎檸檬』、
      フィッツジェラルド偉大なるギャツビー』、ヒットラー『わが闘争』、「アール・デコ展」
1926年(昭和元年) カフカ『城』、ガウディ『サグラダ・ファミリア』、ロレンス『翼のある蛇』
1927年 ハイゼンベルグ不確定性原理」、ボーア「相補性原理」、賢治『銀河鉄道の夜』、         ヴァージニア・ウルフ灯台へ』、ハイデガー存在と時間』、芥川龍之介自殺、
1928年 ロレンス『チャタレー夫人の恋人』、バタイユ眼球譚』、ブルトン『ナジャ』、
      ウォルト・ディズニーミッキー・マウス
1929年 アインシュタイン「統一場理論」、ハイゼンベルク、パウリ「場の量子論」、ホワイトヘッ      ド『過程と実在』、推理小説プロレタリア文学、藤村『夜明け前』開始、世界大恐慌
1930年 ロレンス『ヨハネ黙示録論』、ヘッセ『知と愛』、マン『マリオと魔術師』
1931年 ゲーデル「不完全性原理」、E.ウィルソン『アクセルの城』、満州事変、平凡社大百科事典
1932年 ハックスリー『すばらしい新世界』、セリーヌ『夜の果てへの旅』、オーデン「新文学運動」
      ミショー『アジアの野蛮人』、ナチス党第一党となる
1934年 H.ミラー『北回帰線』、小栗虫太郎黒死館殺人事件』、R.シャール『うちでのない小槌』
1935年 バタイユ『空の青』、藤村『夜明け前』完成、夢野久作ドグラ・マグラ』、「日本浪漫派」
1936年(昭和11年) フォークナー『アブサロム、アブサロム!』、M.ミッチェル『風とともに去      りぬ』、スペイン戦争(内乱)
1937年 ピカソゲルニカ
1938年 オーウェル『カタロニア賛歌』、サルトル『嘔吐』、アルトー『演劇と形而上学
1939年 ジョイスフィネガンズ・ウェイク折口信夫死者の書スタインベック怒りの葡萄』 第二次世界大戦(昭和14年)  (参考 『増補 情報の歴史』 松岡正剛監修 NTT出版株式会社)
http://ameblo.jp/gaikokubungaku/entry-10018388723.html