超越的経験性について:試論1:超越性と物質性との交差的多元創造:

超越的経験性について:試論1:超越性と物質性との交差的多元創造:超越的理性哲学としてのPS理論


テーマ:プラトニック・シナジー理論


先に、メディア・ポイントにおける超越性と現象性との並存的二重構造性について述べたが、まだ、言い足りていないので、ここでもう少し検討しよう。

超越性と現象性との二重構造と言ったが、正しく言えば、超越性と物質性との二重性である。あるいは、超越性と同一性との二重性である。

というのは、現象は、超越性を帯びるからである。

先に、私は、超越性の宗教性ないし精神性について述べた。つまり、超光に関する宗教的表現についてである。

では、宗教以外にどのように超越性と物質性は交差するのか、考えたい。実は、これが、超越的多元変換性に関する問題である。

しかし、これは、ある意味で愚問である。何故なら、量子力学が技術的に応用されている今日、正に、現象界において、超越性=「量子」性と物質性とは交差しているからである。

だから、量子論的知識が、超越性と物質性との交差の《メディア》となっていると言えよう。今日、知識・情報が《メディア》となり、超越性と物質性の交差を進展させていると言えよう。

これが端的に、超越的多元変換の事態・事象である。

高度な知識・情報が超越的多元変換を創造する《メディア》なのである。

そして、《アイデア》も超越的多元変換を創造する《メディア》と言えるだろう。

創造的《アイデア》とは、《差異》を創造的に共振させるものであると言えよう。近代主義的な物質的同一性に囚われた頭脳では、現代においては、生き延びることはできない。

今や、超越的差異共振創造のエイジになっているのである。

現代、超越性と物質性との交差が多元変換創造をなる、空前の時代と言えよう。

何故なら、近代以前は、超越性の時代であった。そして、近代は物質性の時代であった。

そして、ポスト・モダンは、両者の混淆の時代であった。

今や、ポスト・モダンを超えて、トランス・モダン世界時代となり、超越性と物質性との創造的交差的多元変換がキーポイントになっていると言えよう。

「神」と人との新しい創造的交流の時代である。

ここでメディア・ポイントが核心となる。

精神性と感覚性とが交差する場がメディア・ポイントである。

つまり、精神と身体との交差点がメディア・ポイントである。

換言すると、天と地との交差点としてのメディア・ポイントである。

ここで、精神性と知性との関係が重要なポイントである。

両者の共振性がキーポイントである。

もっとも、《差異》と《同一性》を明確にしないといけない。

精神性は、《差異》である。物質性が《同一性》である。

知性は、《差異》と《同一性》の両面をもつ。

近代主義は、同一性知性であった。そして、トランス・モダン知性は、差異的知性である。

しかし、後者は前者を包摂しているのである。

同一性と同一性との間の差異を認識するのであるから、当然、同一性を包摂しているのである。

だから、精神と知性との結合があるのであり、それは、超越的知性ないし超越的差異知性と呼べよう。

そして、この超越的知性に関しては、超越的理性(超越理性)という言い方をしてもいいように思える。勿論、同一性理性や精神的理性という言い方は可能であるが、やはり、混乱を避けるため、理性は、超越的理性(超越理性)に留めたいように思えるのである。

そう、カントの純粋理性は、この超越的理性(超越理性)を示唆していたと言えよう。

カントは、即非論理を知らなかったので、アンチノミーという同一性論理による批判に留まったと言えるだろう。